それでもアナタは「食わず嫌い」を続けますか? アメリカ ナイズされた1/24 NASCARシリーズを通じて考察する“サルビノスJRモデルズ”という特殊なモデルカーメーカー

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アナタは、アメリカのイカれた(←これでも褒め言葉のつもりです)プラスチックモデルメーカーである“サルビノスJRモデルズ”のことをご存知でしょうか?
 最近は、佐藤琢磨がそのステアリングを握っている1/20スケールのインディカーも製品化したため徐々に日本での知名度を高めつつありますが、基本的にはNASCAR専門のモデルカーメーカー。
 それゆえに、日本ではまだまだマイナーな部類に属するモデルカーメーカーなのですが……いや、と言いますか、そもそもNASCARについての知識を持ち合わせている日本人って、驚くほど少ないじゃないですか。

サルビノスJRモデルズ 1/20 インディカー チップ・ガナッシ・レーシング ”佐藤琢磨” 2023 インディ500

 そのため「サルビノスJRモデルズ=謎のモデルカーメーカー」という感じで長いあいだぶ厚いヴェールに包まれ続けているわけですが、それゆえに今回は、サルビノスJRモデルズとNASCARの解説を中心に据えたブログを綴っていこうと思います。

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まずは、サルビノスJRモデルズという謎のモデルカーメーカーについて。

 まずは、サルビノスJRモデルズという謎のモデルカーメーカーについて。

 サルビノスJRモデルズは会社を立ち上げたリック・サルビノス氏とジム・ロジャース氏の2名からその頭文字を取り命名された、2018年に初めてNASCARのプラスチックモデルをリリースした歴史的にはまだ新しいモデルカーメーカーです。
 なお、サルビノスJRモデルズ製のNASCARはアメリカで人気の高い1/25スケールと、国際統一スケールの1/24スケールでシリーズ化されています。1/24はワールドワイド的展開を視野に入れた製品化らしく、主に現行最新型のマシンを多数ラインナップ。
 もっとも、1/25も結局はNASCARばかり製品化しているので、とにかくNASCARへ接する姿勢がどう考えても熱すぎるモデルカーメーカーであり、「これだけ熱いのになぜ日本ではマイナーな存在なのか!?」という話になるのですが……そこはやはり、キット化の対象が「NASCARという特異な存在ゆえ」と言うことができるはずです。

NASCARという特異な存在

 それではNASCARの説明へ移らせていただきます。

 NASCAR(ナスカー、National Association for Stock Car Auto Racing / 全米自動車競走協会)はフロリダ州デイトナ ビーチに本部を置くアメリカ合衆国最大のモータースポーツ統括団体で、NASCARは同団体が統括するストックカー レースの総称でもあります(なお、統括団体としてのNASCARシリーズは、1948年にビル・フランス・シニア氏とエド・オットー氏により設立されました)。

 75年もの歴史に基づくNASCARシリーズは市販車を使ったレースとしてはじまり、現在では「市販車に似せた純レーシングカーを使用するレース」として知られています。
 その“純レーシングカー”という見慣れない単語に対し「……なんだよソレ!?」と反応された方もいらっしゃるかと思いますが、これは「各エンジンメーカーがチューンナップを施した自社製のエンジンをシャシーに搭載し、ワンオフのパイプフレーム+金属外板によるそうそう簡単には壊れない超頑丈なシャシーを開発、市販車を模した外観(燈火類が一切なく、ヘッドライトはステッカーや塗装で表現)を持つボディを製造し、ドアが開かないボディ(そのためドライバーのコクピットへの乗り降りは、ウィンドウが存在しない保護ネットを貼った左ウィンドウ部分から行います)といった特性を持たせた上で、「一見すると市販車かと見違えるものの、じつは市販車とまったく異なるレーシングマシンで争われるレース」と言えば、少しは伝わるでしょうか?

サルビノスJRモデルズ 1/24 ライアン・ブレイニー #12 ボディアーマー フォード マスタング NASCAR 2023 コカ・コーラ 600 ウィナー
サルビノスJRモデルズ 1/24 “”ウイリアム・バイロン”” #24 バルボリン シボレー カマロ ZL1 NASCAR 2024

 ……いや、これでは分かりづらいですね。自分でもよく分からない(苦笑)。
 なので、改めてもう一度、もう少し簡潔に説明してみます。

 たとえば、フォードはマスタングに似せたボディを、シボレーはカマロに似せたボディを、トヨタはカムリに似せた専用ボディをNASCARのためにわざわざ用意し、金属製の専用パイプフレームが組まれたシャシーにチューンナップを施した自社製エンジンを搭載、マスタングやカマロやカムリを模した架装ボディを装着した上でレースに参戦している……という表現ならば、先に記した表現よりも伝わるでしょうか?(なお、派手な配色による巨大なカーナンバーやスポンサーロゴも、レースの世界ではNASCARでしか見ることのできない独特の光景と言うことができるはずです)。
 こうして「一見しただけでは普通のツーリングカーに見えるけれど、ただしその中身は完全にワンオフな純レーシングカー」というレギュレーションに基づき闘うのが、NASCARならではの醍醐味と言えるでしょう。

 また、レースの成り立ちがアマチュアによる市販車レースであったため、NASCARは車体製造のコスト高騰を極端に嫌い、そのために高価なチタンやCFRP=カーボンファイバーコンポジットの使用を禁止しています。
 これにより競技用四輪車としては非常に重く、レギュレーションにより最低重量は3,450ポンド(≒1,560kg)と規定されているため、そもそも前述したような特殊材料を使ってまで軽量化を図るメリットは存在しないわけです。

 さらに、そこにプロレスの興行にも似たドライバー=レーサーのキャラクター性が加わり(それゆえに著名レーサーが亡くなったりすると、それはそれは蜂の巣をつついたような大騒ぎになります)、NASCAR=ストックカーをガンガンぶつけ合いながら主にオーバル コースで繰り広げられる迫力溢れる野蛮なレースに対し、スポーツ好きなヤンキーたちがバドワイザー片手にすこぶる熱狂する……という、なんとも「バ◯丸出し」(←これでも一応は褒め言葉です!)な北米特有のレースだと考えていただいて構わないと思います。

サルビノスJRモデルズ 1/20 連覇達成! “”ジョセフ・ニューガーデン”” ペンスキー・レーシング インディカー 2024 インディ500 ウィナー
サルビノスJRモデルズ 1/24 ジョーイ・ロガーノ #22 オートトレーダー フォード マスタング NASCAR 2023 アンベターヘルス400 ウィナー

 そして、肝心なサルビノスJRモデルズ製の現行最新型 1/24 NASCARですが──コクピット、エンジン、それを取り囲む金属製のフレーム、ダウンフォースを生み出すアンダーパネルなど、細部まで非常によく再現された、純レーシングカーならではの特殊な構造を学習することのできる超優秀なフルディテール キットと言えるでしょう。

 ……ただし! ただしですよ、奥さん!

 細部までよく再現されているキットなれど、とにかくこれが組み立てづらい! サルビノスJRモデルズの日本国内輸入代理店を務めているプラッツ的にはこんなことを書いてしまうのは本来NGなのですが、国産のモデルカーに向き合う姿勢のまま取り組むと、おそらくは泣きを見ることになるかと思うのです。

 というのも、実車を再現するために必要なパーツはすべて用意されているものの(ボディを被せてしまえばコクピット以外ほとんど見えなくなるくせに、エンジンや金属製フレーム、サスペンション等がすべて再現されています)、パーツ同士の擦り合せや位置決めがかなり甘く、組み立て説明書どおりに組み立てていくと最後の最後で架装ボディがきちんと被さらない……などという初歩的なトラブルに巻き込まれること必至。
 そう、まるで「パーツは一応全部用意してやったから、組み立ての手間と努力は君に任せた!」と言われているかのような感覚を抱くのです。

サルビノスJRモデルズ 1/24 “”カイル・ラーソン”” #5 ヘンドリック・モータースポーツ 40周年記念マーキング シボレー カマロ ZL1 NASCAR 2024
エンジン・金属製フレーム・サスペンションなどすべて再現。

 要するに、「NASCARに対する愛情は人10倍熱いのに、その愛情が暴走を起こして独り歩きをしている」のがサルビノスJRモデルズ製品の実情であり、その暴走部分はモデラー側が補ってやらねばいけない、ということになります(もっとも、最近になり組み立て説明書が全面的に新しくリファインされたのは、サルビノスJRモデルズがモデラーの発する声に呼応し、モデラーに確実に組み上げてもらうためへの第一歩を踏み出したと考えてよいと思います)。

 そんなわけで、いきなりネガティブな話から入ってしまいましたが、要は「普通に組んだらあとで怖いことになる」という旨を自覚した上で各パーツ同士における擦り合せや位置決めをきちんと行えば、サルビノスJRモデルズの1/24スケールキットであるNASCARシリーズは無敵の存在になり得るポテンシャルを秘めているとも言えるわけです。

それでは実際に、サルビノスJRモデルズの1/24スケールキット2台を見てみることにしましょう。

 プラッツ代表から「これをブログ化してほしい」と頼まれたのは、ヒストリック系マシンの1/24 ケール・ペティ 1983 ポンティアック グランプリと、現行最新型マシンの1/24 ウィリアム・バイロン 2023 シボレー カマロ ZL1
 まず驚くのが、ケール・ペティ 1983 ポンティアック グランプリもウィリアム・バイロン 2023 シボレー カマロ ZL1も、マシン名よりもドライバー名のほうがバカでかくパッケージ天面に記されている点。これこそがNASCARならではの独特さであり、先ほどプロレスをたとえとして引用したのは、要は「こういうこと」なのです。

サルビノスJRモデルズ 1/24 カイル・ペティ #7 セブン-イレブン ポンティアック グランプリ NASCAR 1983
サルビノスJRモデルズ 1/24 “”ウイリアム・バイロン”” #24 RAPUTOR シボレー カマロ NASCAR 2023

 そしてさらに驚くのが、ケール・ペティ 1983 ポンティアック グランプリとウィリアム・バイロン 2023 シボレー カマロ ZL1のそのどちらもが、同時期に発売になった新製品であるということ。
 というのも、思わず「……ウソでしょ!?」と思うほど、ケール・ペティ 1983 ポンティアック グランプリはキット内容が旧態依然的としているのです(組み立て説明書も古臭くて分かりずらいことこの上なし。ちなみにキット内容が旧態依然的なことに関しては、「ヒストリック系マシンは実車取材が難しいので細部はボカして製品化している」と言われれば、一応は「なるほど」と納得できなくもないのですが)。

 対してウィリアム・バイロン 2023 シボレー カマロ ZL1は未組み立てのキット状態で見ている限り、ほぼパーフェクトな出来具合。一体成型でキレイに抜けている、スライド金型を利用したボディもじつに美しいですし(キットのボディがNASCARのレギュレーションに則った成形方式だけに、ボディを見ているだけで思わずワクワクしてしまいます)、ボディ以外のパーツも非常にキレがよく、「この先、このキットにまさかの落とし穴が待ち受けていようとは……」と半信半疑になってしまうほど、パーツ状態でのクオリティは非常に高いと言えるでしょう。

 なお、両方のキット共にデカールはイタリアのカルトグラフ社製シルクスクリーン印刷デカールが用いられており、「採算度外視にもほどがあるだろう!」というツッコミを入れたくなること請け合い。
 ここまでその正体を暴くために長々と綴ってきましたが、真面目に考察すれば考察するほど「サルビノスJRモデルズ=謎のモデルカーメーカー」という振り出し地点に戻ってしまうんです、困ったことに。
 なんなんですかねマジで、サルビノスJRモデルズって……( ´Д`)=3

 というわけで今回はあえてここまでにしておきますが、もしも今回の記事でサルビノスJRモデルズとNASCARに興味を抱いた方がいらっしゃるのであれば、1/24スケールの現行最新型マシンから製作してみることをオススメしておきます(ヒストリック系のマシンのほうがパーツ点数は少ないですが、アレはアレで逆に敷居が高いので)。

 ちなみに──2023年における小林可夢偉のスポット参戦をきっかけに、じつは日本でも有料放送のCSスポーツチャンネル“GAORA SPORTS”にてNASCARの放映を見ることができるのです! もちろん好き嫌いの分かれるレースだとは思いますがハマる人はまちがいなくハマるはずなので、機会があればぜひ一度視聴してみてください。
 アナタの中でNASCARに対する感覚が驚くほど変わる可能性は、決してゼロではないはずです。

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