誰もが知っているイタリアの「ちいさな大衆車」イタレリならではの1/12傑作モデル フィアット500F 1968 & 500F 1968 ルーフキャリア付属

プラモデルキット
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歴史的名作、フィアット500。

1957年7月4日にデビューし、イタリア大衆にモータリゼーションを提供した歴史的名作、フィアット500
 初代500(1936年に発表された500Aと、その改良型の500Bや500C。愛称はトポリーノ=ハツカネズミ)と区別するためにヌオーヴァ500(NUOVA 500)と称され、一般にはイタリア語で500を意味するチンクェチェント(Cinquecento)の呼称で広く知られている傑作小型大衆車です。
 先行して発表されていた600のメカニズムが多くの点で流用されており、600と同様にモノコックボディのリアエンジン・リアドライブとなっているのがメカニズムとしての大きな特徴(なお、ヌオーヴァ500も1965年のマイナーチェンジを境に、500E以前の前期型と500F以降の後期型に大別されます)。

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 600はトポリーノに負けない人気車種となったものの、フィアットはこの成功に満足していませんでした。
 というのも、1950年代当時のイタリアでは、軍需を失った戦後の代替製品として航空機メーカーや鋼管メーカーがこぞってスクーター市場に進出しており、自動車を買えない大衆の足として大きな成功を収めていたためです。

 フィアットではこれらスクーター(要はベスパ)からの乗り換えを喚起すべく、600よりさらに安価な乗用車を投入することが次なる需要に繋がると判断したのでした。
 このような背景から、ヌオーヴァ500は基本的に600をひと回り縮小したモデルとして設計されました。600と比較してスペース的に窮屈ではあるものの4人乗りとしており、これは2人乗りだったことで競合車種に顧客を奪われたトポリーノ時代の反省と、スクーターとの大きな差別化を図るという点から重要視され実現した結果でした。

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 もっとも、479cc/15PSの空冷直列2気筒エンジンは軽量なボディと相まって最高速度95km/hを叩き出しましたが、騒音が大きく、振動も激しいため、乗り心地には悪影響を及ぼしていたのも事実。
 その結果、車体は全鋼製のモノコック構造としたものの、エンジンの騒音が屋根板のせいで車内に籠もってしまうため、その対策として屋根をオープン状態にできるキャンバストップを標準装備とし、騒音を車外に発散することで居住性の改善が図られたのです(「キャンバストップが全車標準装備なんて、陽気で明るいラテンな国の人たちはやはり発想が違うな」と本気で思っている人が結構いますが、じつは実車にはこんな逸話が存在していたのです)。

 エクステリア デザインは設計者のダンテ・ジアコーサ自身が手掛けたもので、元々愛嬌のあった600のデザインをさらに縮小して仕上げたようなコミカルな雰囲気を持たすことに。ジアコーサが晩年に『カーグラフィックTV』のインタビューで述べたところでは、「自らクレイモデルを毎日撫でまわすように手作業で削り出していたところ、自然にでき上がってしまった」とのこと(もっとも、ジアコーサは「独特の丸みを帯びた形状は少しでも軽く仕上げるために使用する鋼板を減らすべく、表面積を減らす意図もあった」とも語っています)。
 多くの人を魅了した(未だ魅了し続ける)ヌオーヴァ500のエクステリア デザインは、このような偶発性と必然をもって誕生したというわけです。

 この結果フィアットの野望は見事達成され、発売初期の1957年当時は「スクーターを高価下取りする」という荒業の販売施策でスクーターユーザーの乗り換えを促し、それまで2輪車に乗っていたイタリアの大衆を4輪車に乗り換えさせることに繋がっていきます。

 さらに、1965年に発売された進化型の500Fでは、新しい交通規則に対応するため、それまでの前開きドアを廃止し一般的な後ろ開きドアに変更されると同時に、フロントウィンドウの大型化、キャンバストップ開閉レバーを2か所から1か所に変更、キャンバストップ後方の金属ルーフ部を分離可能型から一体成型に変更、テールランプの大型化、ドライブシャフトのジョイントを強化、クラッチをコイル スプリング式からダイアフラム スプリング式に変更、ボディパネルの変更などが施されることに。

 こうしてヌオーヴァ500はイタリア本国やヨーロッパに留まらず、世界各国に熱心なファンが存在することとなり、現在でもレストアして愛用する者が多く見られる超人気車として燦然と輝き続ける存在と化したのです。

イタレリの傑作キット フィアット500

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 それでは肝心のイタレリ製1/12スケール キットに目を通してみましょう。

 キットはヌオーヴァ500の後期型に属するF型(1968年型)を再現しており、プラッツ オリジナルデザインのパッケージにプラッツ製作による日本語説明書が付属するという、イタレリの傑作キットを手軽に組み立てていただける内容となっています。
 仕上がり全長は約248mm、全幅約110mmで、1/12というビッグスケールなのに非常にコンパクトなサイズに仕上がっており、ヌオーヴァ500最大の特徴であるちいさくて丸みを帯びた独特のエクステリア デザインを実感たっぷりに体現していると言えるでしょう。

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 さらに、左右のドアとフロントのトランクフード、リアのエンジンフードは完成後も開閉が可能で、トランクフードの中にはガソリンタンクとスペアタイヤが、リアフードの中にはちいさな空冷2気筒エンジンとトランスミッションケースが存在し(エンジンは補機類まできちんとモデル化されています)、車輌内部におけるインテリアのディテールも精密に再現。
 また、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様が選んで組み立てられることに加え、前輪の舵角とステアリングホイールがシンクロして可動することは、そこにこだわりのあるモデラーにとってはうれしい配慮と言えるかもしれません。

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 なお、RRのエンジン&トランスミッションケースも1/12ならではの解像度で再現されており、パーツ点数も多く非常によい仕上がり具合です。なんと言ってもイタリアでは今も実車の500Fが普通に走っているので、実車取材もたやすかったに違いありません。
 要は「それぐらいどこもかしこもじつに実車によく似ていて再現度が高い」わけです、イタレリ製の1/12 500Fは。

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 また、室内のフロアマットなどの簡素なディテールを表現するエッチングパーツもセット。キャンバストップのルーフは開閉も楽しめます。

 加えて、前後サスペンションは金属製コイルスプリングを使って可動するなど、ビッグスケールモデルならではの再現が見逃せません。

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さらに、プラッツのデザインによるデカールは日本のナンバーも用意

日本のカーモデラーのことを意識したデカールに対し、重宝する人も多いのではないでしょうか。

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イエローボディにルーフキャリア付属!「1/12 フィアット500F 1968 ルーフキャリア付属」

 なお、同時発売した1/12 フィアット500F 1968 ルーフキャリア付属は、ボディパーツの成形色をイエローに設定。無塗装のまま組み上げても雰囲気ある仕上がりを演出すると同時に、ルーフに装着するキャリアを再現するエッチングパーツもセット。「500Fといっしょの生活」も伝わってきそうなオプションパーツです。

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 ちなみに──「言わずもがな」な話ですが、日本における500Fは『ルパン三世』の愛車として広く認知されています。
 もっとも、そもそもルパンはメルセデス ベンツSSKを愛車としていたのですが、1971年当時、第1シリーズの作画監督を務めていた大塚康生氏曰く「SSKは自分と青木雄三氏にしか描けない(SSKはあまりにも複雑で線が多いためアニメの作画向きではない)」という作画面の問題と、企画側によるルパンの設定変更(宮崎 駿氏の企画参入)により、ルパンの乗る愛車は大塚氏の愛車でもあった500Fに変更され、シリーズ後半以降には宮崎演出に基づく500Fが頻繁に登場するようになったのです。

 とくに有名なのは劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年12月15日公開/宮崎 駿氏の劇場映画初監督作品)の冒頭で壮絶なカーチェイスを展開するクリームイエローの個体で、4代目500(500誕生50周年の2007年3月23日発表された新型車輌。ただし日本へのデリバリーは2024年をもって完了済み)では日本国内限定で同色を模した特別仕様車がたびたび登場するなど、我が国では『ルパン三世』が500Fの認知に対し多大に影響していることが証明されています。

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 というわけで、フィアット500Fの魅力を多角的な面でたっぷりと味わえるこのキット、『ルパン三世』のファンにも自信をもってオススメできる逸品です。

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