激戦のFIA世界選手権レースWTCC
市販車にもっとも近い、身近な車両で競い合うツーリングカーレースはいつの時代でもモータースポーツファンのあいだで世界的に高い人気を集めています。
市販車改造車による世界選手権(WTC)は1987年に初開催されており、当時はグループA車両によるセミ耐久レース(500km。スパ・フランコルシャンのみ24時間レース)でした。
なお、BMW vs フォードのクラスを超えたWTCでの戦いは開幕戦の両者失格にはじまり、クレーム合戦やレギュレーションの解釈による不条理な罰則などといった運営や規則のトラブルが頻発し、WTCはわずか1年で崩壊。
その後2001年から2004年までヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)の名称で開催されていたスプリントレースが、2005年から国際自動車連盟(FIA)により再び世界選手権のタイトル(=ETCC)が懸けられることになります。
ちなみにETCCは他のレースに比べて激しいぶつかり合いが許容されていたため“格闘技レース”とも呼ばれており、ブランパンGTシリーズの主催者であるステファン・ラテルも「ぶつかりたいならETCCへ行け!」と公に発言するほど。
ただし、大規模な空力パーツが装着されるようになったTC1規定導入以降はぶつかり合いによるリスクが大きくなったため、従来ほどの激しさはなくなることになります。
そんなツーリングカーレースの世界で活躍を続けてきたのが、先にも記したドイツのBMWです。

中でもその名を高めたのが、名車である2002の系譜を受け継ぐ3シリーズをベースにしてチューンアップが施されたM3で、1985年に初代のモデルが登場しました。E30型の320をベースに改造されたモデルは世界各国のツーリングカーレースに参加、圧倒的なパフォーマンスを見せつけることに。
その後、1993年からはE36型をベースにしたM3が、さらに、2000年からはE46型をベースにしたM3が登場。それまでのモデルと同じように、チューンアップされたマシンがサーキットで活躍することになります。
FIAの世界選手権レースであるWTCC(世界ツーリングカー選手権=1987年〜2017年に開催)でもBMWは多くのチームから参戦、アルファロメオやシボレー、フォードなどと激戦を展開したのです。
なお、WTCでドライバーズチャンピオンを獲得したBMWは、WTCCでも唯一のFR勢として参戦。2005年末に、2,600台限定による4気筒エンジンのホモロゲーションモデル“320si”を発売するほどの力の入れようでした。
FFに比べてタイヤに優しく加速も有利なFRレイアウトは非常に強力な武器で、事実、ETCC時代を含めればドライバーズ/マニュファクチャラーズ共に4連覇するほどの実力を示すことに。
また、プライベーターからの人気も圧倒的に高く、インディペンデント チーム向けトロフィーで最もチャンピオンを輩出したマシンとなったのです(もっとも、それゆえに性能均衡を鑑みる上で運営や他チームからの目は厳しく、しばし槍玉に挙げられることにも繋がっていくのですが……)。
プラッツ/nunuによるスケルトンイラストの再現力!
それではキット内容に視点を移してみましょう。
キットは2005年のWTCCで活躍した、BMWチーム ドイツによるBMW 320iのレース・オブ・フランス ウィナーを1/24スケールで再現したものです。このカラーリングのマシンの製品化を「待ってました!」と感ずる人も多いのではないかと思います。
というのも、車輌をカンバスに見立ててマシンの内部構造をスケルトン風に描いたスタイリッシュなデザインセンスは、「さすが」のひとこと。そんなスケルトン風のイラストの上に、ルーフに「ビシッ!」とドイツ国旗の差し色が入るあたり、かなり巧妙に計算されたグラフィック デザインだと言うことができるはずです。

パーツ構成はプラッツ/nunu製品ならではのもので、スタイリングのみならず、シャーシ下面やインテリアに至るまでリアリティ充分に再現。
とくにサスペンションアームやドライブシャフトの立体感は特筆もので、少ないパーツ数で見事に造形されています。インテリアは張り巡らされたロールケージやレース仕様のダッシュボード、レース仕様のため不要なものがすべて取り除かれたフロアなどのディテールを詳細にパーツ化。基本的にはストレート組みで充分満足がいく内容となっています。

ちなみに、マーキングは2005年のWTCCにおける、カーナンバー42の、BMW チーム ドイツのレース・オブ・フランス ウィナー仕様のマシンとなっています。ボディ全面に描かれたスケルトン仕様のグラフィックも、大判のデカールできちんと用意されています。
プラッツ/nunu製品に付属するデカールは非常に「伸び」がよく貼りやすいので、今回のBMW 320i 2005 E46のようなプロダクトにも臆さずデカール貼りが行えるはずです。
そして、今回も例に漏れず専用ディテールアップパーツセットが同時発売になります。
同セットはエッチングパーツを中心に、布製のシートベルトや金属製のアンテナ等を用意。エッチングパーツにはブレーキディスクやワイパーなどをはじめ、キャッチピンやシートベルトの金具などのこまかなパーツもセット。
加えて、CFRP=カーボンファイバーコンポジット パターンを再現するデカールも用意されており、外観もインテリアも繊細な仕上がりを演出することが可能です。



数多くのレース仕様BMWがある中で、特別な輝きを誇るBMW 320i 2005 E46 WTCC レース・オブ・フランス ウィナー。BMWファンはもちろん、ツーリングカーファンならばぜひともコレクションに加えたい1台と言えるはずです。
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