イタリアから1/9スケール ベスパのプラスチックモデルキット発売
先日、映画館で開催されている「午前10時の映画祭」という映画館イベントの中で、「ローマの休日」が上映された。
名作と呼ばれる映画をデジタルでいろいろと再上映していこうという企画で、2週間程度のスパンで異なる名作、傑作映画が掛けられている。先日上映されたのが「ローマの休日」だった。内容は今更説明するまでもないと思うが、主演のオードリー・ヘプバーンのなんとキュートで、清楚で、魅力にあふれていたことか。
その中でショートヘアに髪をカットしたアン王女がローマ市内を駆け巡るシーンで重要な役割を演じているのがベスパのスクーターですね。グレゴリー・ペック演じる新聞記者のジョーとアン王女がタンデムで駆け抜けるローマの街並み。閉じられた世界から解放されたかのようなアン王女のはつらつとした表情が輝いていました。
映画でのベスパはアン王女を開かれた世界に羽ばたかせてくれた羽根、あるいは魔法の靴だったのかもしれません。
1950年代から60年代、世界に花開いたスクーター文化はこの映画が大きな影響を与えていたと言っても過言ではないと思っているのですがいかがでしょう。
アン王女とジョーが乗ったベスパではありませんが、イタレリから1/9でビンテージのベスパのキットが登場します。1968年型のプリマベーラ125です。現在までその名前が受け継がれているベスパの人気車種の一つです。
キットは組み立て式の1/9スケール。仕上がりの全長は約20cmと大きすぎず、小さすぎない、いいサイズ感です。このスケールですからもちろん、エンジンも再現されたフルディテールキット。その構造もわかる内容が興味深いですね。比較的部品点数も少なくて、手軽に取り組んでいただけるキットだと思います。
実はベスパは戦後にスクーターを作り始めています。戦争で荒廃した中、復興の足として考えられて生産が始められました。期待通りにスクーターの元気な走りがイタリアを、そして世界を活気づけていくことになります。
スクーターというのりものは戦前の昔から存在していましたが、一般的に広まり、オートバイでもなく車でもない、一つのジャンルとして認識され、定着するようになったのはベスパの登場によるともいわれています。本格的なモーターサイクルよりも扱いが簡単で、しかも、それなりの走行性能を発揮し、さらに、経済性にも優れる乗り物。ベスパのヒットこそがスクーターの地位を確立したと言っても過言ではないのです。
ベスパの設計は航空機のエンジニアとしても活躍していたコラディーノ・ダスカニオ。それゆえにスクーターと言え、高い信頼性を生み出していたのでしょう。彼の設計が現代のベスパにも引き継がれていますが、鋼板プレスパーツによるモノコックボディ、エンジンと駆動系を一体化したユニットスイングメカは、まさに、スクーターの基本メカニズムとなっています。
そうしたメカニズムも組み立てながら理解できるキットですよ。
そんな歴史に残る1台をイタリアのメーカーが作るんですから、モデラーとしては見逃せないじゃないですか。しっかり作ってイタリアメーカーの心意気に応えたいものです。
腕に覚えのモデラーなら、カスタマイズや改造に腕を振るってみるのも楽しみなスケールです。
そうでした、キットには完成品のディスプレイを楽しく演出する雰囲気あるバックボードも初回限定でセットしています。