イタリアのプラモデルメーカーが贈るイタリア車キット!!
イタリア最大であり、ヨーロッパでも有数の規模を誇るプラスチックモデルメーカー、
イタレリ。ボローニャ県カルデラーラ・ディ・レーノに本社を構え、1970年に最初のプラスチックモデルを発売して以来、倒産や買収をほとんど経験することなく、コンスタントに製品を発売していることでも知られています。
主な製品は航空機やAFV、自動車等のスケールモデルで、第二次世界大戦におけるドイツのソフトスキンやイタリア製航空機など他社では製品化していないアイテムも数多く、とくにAFVのモデルではタミヤが採用した「1/35」という独自スケール(すでに形骸化していますが、「車両内にモーターと電池が内蔵できるスケール」です)に最も早く追随した欧米メーカーのひとつです。

また、その開発スピードの速さ(戦闘機における開発中の試作機や最新鋭戦闘機のいち早いモデル化)とキットの正確性、シャープで繊細なモールドは多くの関係者が認めるところであり、あのタミヤが自社製品の中にわざわざ“タミヤイタレリシリーズ”と銘打ってイタレリ製品を混ぜて販売していることからも窺い知ることができるはず。
そんなイタレリが2010年代になり新たに着手しはじめたのが、70年代のラリーカー。 そして、もちろん車種はイタリア車!! 「イタリア車がラリーの世界でいちばん輝いていた時代」と言っても決して過言ではないでしょう。
今回紹介するランチア フルビアHF 1972 ラリー モンテカルロ ウィナーは、決して速そうには見えないもののコンパクトな四角いボディでキビキビと走りライバルたちをなぎ倒した、ランチアにおけるラリーの歴史を語る際にはなくてはならない存在です。
ラリーでの活躍で知られた小型乗用車
それでは、モデルメーカー=イタレリの紹介はこのぐらいにして、次は実車について掘り下げてみましょう。

フルビアは、イタリアの自動車メーカー・ランチアが1963年から76年まで製造・販売した小型乗用車です。モータースポーツではラリーでの活躍で知られ、1972年にはWRCチャンピオンカーとなりました。フィアットの傘下に入る前に設計された最後の純粋なランチアであり、その伝統に恥じない高度なメカニズム、上質なモデリング水準、上品なスタイルを誇っていたことでも知られています。
当時の大衆車アッピアの後継車として企画され、設計は当時のランチアの主任設計者で、戦前にフィアットで初代フィアット500をダンテ・ジアコーサと共同開発したアントニア・フェッシア。上級のアッピアとの共通点はほとんどなく前輪駆動車でしたが、エンジンは水平対向式ではなく、1920年代の傑作車ラムダ以来伝統の狭角V4レイアウトをDOHC化して採用。一方、意外にも後輪サスペンションはリーフスプリングによる固定式であり、ダンロップ製4輪ディスクブレーキを装備していた点は非常に進歩的でした。

なお、ラリーで大活躍することになるスポルト1600シリーズ2は、高度なメカニズムと少ない生産規模に加え、コスト・生産効率・部品供給は二の次かと思われるほど仕様変更やモデル追加を繰り返しており、当時のランチアにとって儲かる車種であったとはとても考えらない、要はホモロゲーション獲得用モデルだと陰口を叩かれていました。
このためフィアットは1972年にフィアット製エンジンを持つベータを投入、クーペよりも売れ行きが不振だったベルリーナをまず廃止、翌年にはベータ クーペを登場させ、スポルトとクーペ1600 HFの生産を終了しました。
こうしてやや不憫な生涯を終えたフルビアですが、キットはサンドロ・ムナーリが初優勝を飾った1972年のラリー モンテカルロのマシンをモデル化。当時を知る者にとっては記憶に色濃い存在であったのです。
完全新規設計/完全新金型のラリーカーキット!!
では、ようやくイタレリから手元に届いたキットについて語っていきます。
まず当然ながら告げておきたいのが、今回の製品化が完全新規設計/完全新金型であるということ。そこにフルビアを選ぶあたり、イタレリの本気を見て取ることができます。
そしてこのあいだのブログ前編でも書きましたが、いや〜、何がカッコいいって、まずボックスアートがカッコいいじゃないですか! ランチア フルビアのことを知らない人も、パケ買いしてしまうこと必至! 「ラリーカー&レーシングカー歴代ボックスアートグランプリ」があったら、ぶっちぎりで優勝してしまいそう!

そんなパッケージを開けると、そこに現れるのは3DCG設計/製造による、これまでのイタレリ製品よりも一層こまやかな設計&製造によるキット。さすがはイタレリ、イタ車のキット化に関してはイタリア人のDNAが疼くのでしょう、「……どうだ!」と言わんばかりの説得力溢れる設計には納得させられます。2ドアクーペのコンパクトなスタイルを実車そのままに再現、少しばかりスパイスを利かせたボディワークは見る人が見れば分かるはず。
また、控えめのオーバーフェンダーも非常によいアクセントとなっています。



なお、「どう分割するのかな?」と思われていたボディの形状ですが、フロントとリアを分割し、ライト等のこまかなパーツをすべて別パーツとする手法を採用。ライトも銀メッキされた枠パーツに透明パーツをあてがう方法で、これならば誰もが納得のはず。


次いで目が行くのは、やはり補機類までしっかりとパーツ化されたエンジンルームのはず。「3DCG設計だからこうなった」ということではありませんが、やはり3DCG設計による大きな恩恵をこうむっているのは事実といえるはず。エンジンルーム内にぎゅうぎゅうに詰まった狭角V4エンジンと補機類は、完成後もボンネットを開閉することにより楽しむことができます。また、V4エンジンとその後方に伸びるギアボックスは、完成したら見えなくなってしまう箇所。つまりイタレリはそれを大々的に謳ってはいかせんが、このフルビアをキットするにあたって徹底的な実車取材を行ったに違いありません。
さらに言うと、ギアボックスからマシン後端へ伸びるエキゾーストパイプや、エンジン下面を石などから守るためのマットガード等、マシン下面の再現度も唸るものがあります。

なお、コクピット内ですが、実車のクールなコクピットを的確に再現。シンプルな造形が際立つダッシュボードに加え、ロールケージと、シートを固定するシンプル極まりない形状のバケットシートが的確に再現されています。


デカールは「当然」とでも言うべき同じイタリアのカルトグラフによるシルクスクリーン印刷デカールで、この点もぬかりはありません。
さらに、フロントグリルやキャッチピン等のために用意された、各所に用いるエッチングパーツがデフォルトで付属するのもうれしい配慮。日本語対訳補足説明書付属で、組み立ても安心です。
イタレリ 1/24 ランチア フルビア HF 1972 ラリー モンテカルロ ウィナー 希望小売価格: 8,800 円 (税別)
🚗2026年1月発売予定🚗
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